効率的なDiNQLデータ収集方法と病棟負担の軽減 ~ExcelとDWHの活用~(日本医科大学付属病院)

病院概要

【所在地】東京都文京区
【病床数】877床
【DiNQL参加開始年】2019年
【参加病棟数】25病棟

取り組みの背景

DiNQL事業への参加にあたり、情報システム担当の看護職員をDiNQL担当者に選定し、データ収集や入力体制を整備しました。取り扱うデータが多岐にわたるため院内の関係部門と連携し、病棟負担軽減を図りながらデータの質を担保し継続的に運用可能な仕組みづくりを進めました。

運用・活用について

1)データ収集体制と役割分担

DiNQL担当者がデータ収集・入力の全体調整・データの点検・DINQL ITシステムへの最終登録を担っています。データ収集は医事部門、情報システム部門、感染管理部門および各病棟などで役割分担して実施しています。主な情報源は電子カルテ、DWH(データウェアハウス)、部門システムなどに加え、病棟で運用する「Excel収集・集計シート」です。Excel収集・集計シートは、病棟での収集・集計の負担軽減を目的に作成したもので、病棟責任者(師長・係長・主任)と看護クラークが分担して入力し、病棟責任者の負荷軽減と平準化を図っています。

2)現場で使えるExcel収集・集計シートの設計と定着化の工夫

全フォーマットに操作手順や注記を記載し、病棟導入時に説明会を実施しています。入力欄は日常業務に即した設計とし、電子カルテの共有フォルダで管理することで、メールでの“提出作業”を不要にし、作業負担を軽減しました。他病棟からも参照を可能としたことで、改善状況の比較や共有が容易になりました。

3)収集の効率化につながった主な項目とその対応方法

継続的な収集には病棟での収集作業の効率化が不可欠です。DiNQL担当者は、「どのデータを、どのデータ源から、どの方法で、誰が収集するか」を明確にし、病棟で手作業が必要な項目を最小限の4項目(緊急入院件数・手術件数、褥瘡、感染、身体的拘束)に絞り込みました。これらはDiNQLの定義に沿った加工・集計が必要なため、DiNQL担当者が専用のExcel収集・集計シートに集約し、病棟での「入力→自動集計→共有」を前提とする運用に統一しています。一部の項目について、収集の効率化につながった方法を紹介します。

    • 褥瘡ケアの取り組み「新規発生した・既に有していた褥瘡の改善率」
      • 褥瘡改善率の算出には、電子カルテ上の「退院(転出)または月末時点から1週間前の評価」や「転棟前の病棟の評価」を参照する必要があります。褥瘡用Excel収集・集計シートは、褥瘡発生報告書を記入した患者ごとに、新規発生と持ち込みを区分し、最初(発生日・転入日)と最後(転出日)および最後の1週間前の評価を入力できる形式としました。病棟移動患者は「転出元病棟」欄で引継げます。病棟責任者は電子カルテの褥瘡経過記録を確認して入力します。
日本医科大学付属病院_図1_「褥瘡用Excel収集・集計シート」のサンプル

「褥瘡用Excel収集・集計シート」のサンプル

  • 感染対策の取り組み「中心静脈カテーテル関連血流感染(CLABSI)発生率」「カテーテル関連の尿路感染(CAUTI)発生率」「人工呼吸器関連の肺炎(VAP)発生率」
    • DWHによる自動抽出には、「挿入日」と「抜去日」の入力漏れが多く、確認に労力がかかっていました。そこで、DiNQLの「感染関連使用日数チェック」シートを自院用に改変し、尿道カテーテル抜去者などの関連項目を追加しました。さらに、感染管理部門の要望を踏まえ、感染者数などの項目を追加しました。これにより、入力内容から感染件数や相対的適応患者の尿道カテーテル抜去件数などが自動集計できるようになり、入力漏れの早期発見と集計の効率化を実現しました。感染管理部門でも同じシートを院内サーベイランスで活用でき、データの利活用が促進されました。
日本医科大学付属病院_図2_「感染関連使用日数チェック データ収集・集計シート」を自院用に改変

「感染関連使用日数チェック データ収集・集計シート」を自院用に改変

取り組みの効果

  • 入力業務負担の軽減と効率化
    • 病棟での収集・入力の収集項目を絞り、看護クラークと協働し、Excel収集・集計シートに自動集計できる項目を増やすことで病棟責任者の負担軽減につながりました。さらに、その後、身体的拘束については、電子カルテのテンプレート機能を活用した入力に移行し、Excel収集・集計シート数を4種から3種に削減しました。
  • 院内業務への波及効果
    • DiNQL用に作成したExcel収集・集計シートを感染管理部門で拡張利用するなど、データ収集の仕組みが院内横断のデータ利活用に貢献しています。

 

(2026年4月1日掲載)